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清水弘美園長の知恵袋 11月園だより 

2023.11.14

園長の知恵袋

子供に我慢の力をつけよう
園長 清水 弘美
子供たちはこれからの VUCA 時代(ブーカ:不確実であいまいな時代)を生きていかねばなりません。
子供たちの7割近くが、今は無い仕事に就くといわれています。今は無い仕事ですから、どんな技術が必要なのかどんな能力が必要なのか誰にも分りません。昔は必須だったそろばんや毛筆は必要度が下がりましたが、反対にパソコンの技術が重視されるようになりました。英語が必要と今は思いますが 10 年後は同時通訳の優秀な機械ができて外国語は必要なくなるかもしれません。子供たちは、そんな不確実で流動的であいまいな時代を生きていくのです。
だとしたら、人生で成功するためにはどんな能力を育てておけばよいでしょう。
それは「心の力」です。どの業界でも成功者が必ず持っているという4つの力があります。「ガッツ(やる気)」「立ち直る力(元気)」「自分で決める力(勇気)」「やりきる力(根気)」です。でもこれらの力は外から見えないので、実際の行動を見ないとわかりません。心の力がどのくらい育っているかは「我慢の力」で測れます。
3歳まではひたすら愛され守られることで子どもの心は育っていきますが、3歳からは、自分の思い通
りにならないことを我慢して受け入れる力を育てる時です。無理な我慢を与える必要はありませんが、仕方がないことも体験させなくてはなりません。
幼稚園では、自分でできるのに「カバンもってきて」「靴を履かせて」などと甘える子がいます。そん
な時、担任の教師は、怒ったり叱ったりせず穏やかに「できるよね。がんばって」といってその場を離れていきます。子供は「えーん」と漫画みたいに声を上げて泣きます。でも誰も来てくれないことが分かると部屋へ戻りカバンの準備をしていました。ここまで、誰も「ダメでしょ」「何度言ったら分かるの」「ちゃんとやりなさい」などと言いません。どうするかを自分で決めます。自己選択・自己決定・自己責任を大事にするということは、「仕方がない」ということも受け入れることになります。
子供の時から、「自分は他人を操作できる」という感覚を身に付けてしまうのはとても危険なことです。大きくなってからこの感覚を壊されると取り返しがつかなくなります。思い通りにならないことを逆恨みして、親や人を恨んだり、または引きこもったりすることにもつながります。
そうならないためには、親と子供の間に境界線が必要なのです。親が決めること、子どもが決められる
ことの区別を明確にしておくことが大切です。小学校に入った時、「親の言うことは全然聞かないのでお願いします」なんて言う親にならないことです。今の時代、教師が子供を叱ることはとても難しいです。叱られたことのない子は、厳しくされることで不登校になります。その時に担任を恨んでも仕方がありません。子供に寄り添うことと、子どものいいなりになることとは違います。親が親として決めることを明確にしておきましょう。そして子供が決められることもちゃんと残してあげてくださいね。とても大事なことです。

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